【ピッコロ替え指】いやな音を楽に吹くために

　今日はとある高校で西村朗作曲「秘儀Ⅱ」のピッコロレッスン。曲中で高音域をppで吹き始めなければならない箇所があり、便利な替え指を伝授してきました！この記事では、学生さんによく教えるピッコロのお助け替え指をご紹介します。

ピッコロの替え指はどんどん使おう

　ピッコロはフルートよりも色々と難しいのですが、特に3オクターブ目の音に関しては悩む事が多いですよね。私は訳あって中学生の頃にヤマハの木管ピッコロの低価格モデル（YPC-62）を買ってもらったのですが（学校のピッコロがとんでもなく酷かった）、今でもそれを大事に使っています。もっと上位機種の楽器が欲しい気持ちはもちろんあるのですが、良いピッコロを選ぼうとすると価格が青天井なんですよね・・・。そして学校に教えに行くと大抵YPC-62が備品として使われていて、現役で吹いていれば吹き心地もよく分かっているし、「その楽器でこんな音が出せるよ！」という説得力も増しますので、あえてヤマハを使い続けているという面もあります。

　さて、ピッコロの演奏にはもちろん技術が必要なのですが、お助け替え指はどんどん使って楽をした方がよいです。ただでさえ外しやすい高音域や、ピッチのコントロールが難しい音に神経をすり減らせてもあまり得をしません・・・。特に緊張する吹奏楽コンクールの舞台などでは尚更です！

ピッコロの高音域の替え指

3オクターブ目のド （C）

p〜pp、長い音符でピッチを上げたい時

○/●○●/●○○/●（ピッチ↑）

※左手親指/左手/右手/右手小指、○は離す・●は塞ぐ

3オクターブ目のCの音は、気をつけないと低く聞こえてしまいがちな音なので、いつも高めに吹けるようにしておく必要があります。p〜ppで吹く時はかなりコントロールが必要なので、長く伸ばす時にはこの替え指で温存しましょう。

3オクターブ目の♯ド/♭レ （Cis/Des）

p〜pp、長い音符でピッチを上げたい時

○/○○●/●○○/●（ピッチ↑）

※左手親指/左手/右手/右手小指、○は離す・●は塞ぐ

3オクターブ目のCisの音も普通に吹くとかなり低く聞こえてしまいがち。p〜ppで長く伸ばす時にはこの替え指で温存しましょう。

3オクターブ目のミ（E）

f〜ff、ピッチを下げたい時 ①

●/●●○/●●○/○（ピッチ↓）

※左手親指（HかB）/左手/右手/右手小指、○は離す・●は塞ぐ

フルートでも使う運指です。少しアタックがしにくくなりますが、手軽にピッチを下げられます。

f〜ff、ピッチを下げたい時 ②

●/●●○/○○t○/●（ピッチ↓）

※左手親指（HかB）/左手/右手/右手小指、tはトリルキィ、○は離す・●は塞ぐ

こちらもフルートでも使う運指です。発音がとても明瞭になり音程も下がるので好きな運指ですが、前後の運指との組み合わせによっては使いにくいので注意。

p〜pp、ピッチを上げたい時

●/●●○/●●t○/●（ピッチ↑）

※左手親指（HかB）/左手/右手/右手小指、tはトリルキィ、○は離す・●は塞ぐ

小さくスタートしなければならない時に使える運指です。高すぎる時は右手の小指を離します。

3オクターブ目の♯ファ/♭ソ（Fis/Ges）

アタックを当てやすくしたい、p〜ppでスタートしたい時

H/●○●/○○●/○（ピッチ↑）

※左手親指（Hのみ）/左手/右手/右手小指、○は離す・●は塞ぐ

これはラヴェルの「ボレロ」のピッコロレッスンを受けた時に教わった運指です。通常のFisの運指から右手の小指を離すだけなのですが、発音が楽になります。ピッチは高め。「秘儀Ⅱ」の曲中で出てくるppスタートのFisで使えます。

f で低めに吹きたい時

H/●○●/○●○/●（ピッチ↓）

※左手親指（Hのみ）/左手/右手/右手小指、○は離す・●は塞ぐ

これはフルートでもよく使う替え指です。通常右手の薬指を使うところを、中指に変えるだけです。

3オクターブ目の♯ソ/♭ラ（Gis/As）

アタックを当てやすくしたい時

○/○●●Gis/○●●/●（ピッチ↓）

※左手親指/左手/右手/右手小指、○は離す・●は塞ぐ

この運指はフルートでも使いますし、有名な運指ですが一応ご紹介。ピッコロのGis/Asはフルートよりかなり当てづらいので、前後の運指との組み合わせが難しくない限りこの指を使うとよいでしょう。右手の中指・薬指を足すだけです。ピッチは通常運指より下がるものの、そもそもかなり高いので、弱奏でも殆ど気にせず使う事ができますよ！