普段の練習の吹き始めやレッスンの前に「音出し」をしますよね。「音出し」というのは、いわゆるウォームアップタイムです。その日の吹き始めは調子が良いのに、吹けば吹くほど唇が固くなってきて上手く吹けなくなってしまうということはないでしょうか?
夏からウチに来てくださっている昨日の生徒さんはブランクもあったようですがフルート歴はもう長い方です。その方も来たばかりの頃は、「音出し」にとても長い時間をかけていらっしゃいました。その時はとっても良い音で演奏されているのに、いざエチュードや曲を吹き始めると音がかすれてしまうというのが悩みでした。そこで、思いきって音出しをやめてもらいました。
「音出し」のための音出しではない
これは私の経験にも基づいているのですが、音出しに時間をかけていると、準備がなければ吹けない状態を自ら作り出してしまう可能性があります。「唇はこれくらいのひっぱり具合」とか、「ロングトーンで音をならそう」とか、ハーモニクス(倍音)の練習をやらないと落ち着かないとか・・・これはかつての私にも当てはまりますが、こうして口周りの筋肉を準備しすぎるのが返って良くなかったのです。つまり・・・
- 音出しを頑張ると自然な唇の状態を失って力みが出ることがある
- 十分に音出しができなかった時の不安が倍増する
この方もレッスン前にはほとんど音出しをしなくなりましたが、以前よりも曲に入ってからの安定感が増したように思います。もちろん他にもいろいろなアドヴァイスをしていますが、「変に準備しすぎない」というのも意外と大切です。
練習を休んだ直後は逆にチャンス
私は図らずも2、3日練習ができなかったりすることがありますが、そんな時は変に筋肉を使っていないかチェックする良い機会です。2日ぶりくらいに吹くと少し筋肉が落ちているので、むしろ変に口の周りで音を作ろうとしていないかがよく分かるので、逆にチャンスだと思っています!
準備を頑張る癖がつくと不要な力みを生みやすいので、あるがままで吹きましょう!
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