【フルートの不調】アンブシュアのせいではありません(リライト)

 楽器を日々演奏していて、調子が良い時は何も気にならないのに、悪い時は色んな事が気になります。今日は練習していくうちに調子を崩してしまった時、どのように調子を整えていくかというお話です。

目次

調子が悪い・・・

 アマチュアオケでピッコロを吹かねばならなくなった生徒さんから、ピッコロの練習を頑張りすぎたせいか、フルートまで調子がおかしくなってしまったとのご相談。その日のレッスンはほとんどリハビリに費やしました。

【症状】
吹きすぎてしまう、アパチュア(唇の間の穴)が小さい、喉が締まる、よって息のスピードが速くなりすぎる

 調子の崩し方には色々なパターンがあるので一概に言えないところではありますが、今まで自分が経験したり生徒さんがハマってしまった状況を挙げてみます。

  • 音がシャバシャバする
  • アンブシュアが固くなる
  • アパチュア(唇の間の穴)が狭くなっていく
  • 特定の音域しか鳴らない
  • 音の跳躍ができない
  • 唇がすぐ疲れる(30分吹けない)
  • 喉が鳴ってしまう
  • タンギングが下手になる  など

思うように吹けなかったり、いつもよりアンブシュアに力みがある時は、楽器の調整不足が原因の事もあります。塞ぐタンポが増えるほど鳴らなくなる時は、楽器の調整も疑いましょう。

調子を崩す原因

 調子が悪くなると色々なことを疑います。特に「自分のアンブシュアが悪いのでは?」と不安になることも。リッププレートを当てる場所が良くないことは勿論ありますし、その他首の状態など姿勢が不自然であることが原因のこともあります。

 しかしこれまでの経験上、アンブシュアのせいで調子を崩していることはほぼありません。それよりも、丁度良い息の吐き方が分からなくなってしまっていることが原因であることがほとんどです。

 そして吐く息の量が多すぎて調子を崩す人と、少なすぎて調子を崩す人がいます。

息が多すぎて調子を崩すパターン

 耳が「おや、今日は調子が悪いぞ 」と思うと、無意識のうちに息を増やそうとします。しかし吹付ければ吹き付けるほど音がまとまらなくて、唇や喉を締めてしまいます。この悪循環が始まるとなかなか抜け出せません・・・。

息が少なすぎて調子を崩すパターン

 吐く息の量が足りず息のスピードがつかないので、それをアンブシュアを締めることによって補おうとしている方によくあるパターンです。蚊の鳴くような細い音になってしまいます。

調子を戻すポイント

 こういう時、私の場合は調子の戻し方がある程度決まっています。 アパチュアにどれくらい息が通るかが音を左右するので、そのバランスを整えるようにします。

調子を戻すためにしていること

  • タンギングなしで短く吹く練習をする・・・息の適切な量、スピード、コントロール機能の確認
  • フォーレ/「コンクール用小品」やプーランク/「ソナタ」第2楽章など、柔らかい音色を求められる曲を丁寧に吹く(mpくらいで)・・・息やビブラートの調子を整える

息が多すぎる場合

 私はどちらかというと息を「使いすぎて」調子を崩すことが多いので、そういう時はf(フォルテ)で練習しないというのが大事だと思っています。フォルテはフォルテで難しいところがありますが、調子が悪い時はmf(メッゾ・フォルテ)未満で息を落ち着かせるようにしています。管楽器における「息」は、弦楽器で言う「ボーイング(弓使い)」に当たります。息が暴れていて調子が悪い時というのは、弦楽器ならば弓をギシギシさせているようなものです。

息が少なすぎる場合

 息が少なくて調子が悪い方には、逆にフォルテでずっと吹いてもらうようにして、唇の間をたっぷりの息が通る感覚を思い出してもらいます。また呼吸そのものが浅くなっていることもあるので、呼吸がしやすいよう自然な姿勢を取るようにします。

「喉が締まる」という症状には、敢えて吹きながら声を出すのもおすすめ。どの音でもいいので吹きながら声を出してみましょう。声が出せなかったら喉が自由になっていないと考えられます。

良い響きのイメージを持つ

 だんだん生徒さんの息が落ち着いてきたところで、ピッコロのレッスンに移りました。しかしフルートと同じように息をシャーーッと吹き付けてしまいます。今最も困っているのは、高音のh(シの音)が出ないということなのですが、それ以前に2オクターブ目も音色が固くて荒れていました。
 なので、低・中音域の音色作りの課題を提供することにしました。以前私がロイヤル・フランダース管弦楽団ピッコロ奏者、ピーター・フェアホイエン先生のレッスンを受けた時、その音色の可愛らしさにいたく感激しました。特に低・中音域 ピッコロは高音域がフィーチャーされがちですが、音作りはやはり下の音域からなのだなと痛感させられました。
ピーター先生のCD を一緒に聴いて、そのかわいい音を目指し、適切な息の吐き方を探ってもらいました。フルートとは違う息の量、幅の確認です。

 フルートの場合でも自分を見失ってしまったら一旦落ち着いて、一流奏者や好きなフルーティストの音を聴いて、どんな息で吹いているのか想像してみましょう。

まとめ

  • 調子が悪くなるのはアンブシュアのせいではない
  • 丁度いい息の量を思い出すために調整をしよう
  • 「良い響き」のイメージを持つため、参考になる音を聴こう

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