【フルート】後押しの原因と対策(リライト)

 「後押ししないように」と注意された経験はあるでしょうか?恐らく多くの人が、ある時「後押し」と向き合います。今日はその「後押し」の原因と、「後押し」を無くしていく方法についてです。

目次

「後押し」との出会い

「後押し」とは

 「後押し」は、フレーズの山と関係のない不自然な歌い方をしてしまった時に起こるものです。具体的には1音1音に変なクレッシェンドがかかってしまう状態です。自分で自覚するのは難しく、人から指摘されて初めて気がつく事が多いと思います。

まずは自分の「後押し」に気付く

 都内で受験生のレッスンをした時のこと。受験を決意したもののまだ先生には習ったことがなかった子です。なのでエチュードをさらったこともないし、ヴィブラートもかけたことがない…本当にイチから教え込んでいるところでした。

 彼女には「後押し」をしてしまう癖がありました。まだその時アルテの1巻の初歩的なエチュードをやっていましたが、ある曲の最初の3、4小節がうまくいきません。簡単な音の羅列なのですが、一つ一つの音を歌おうとするために後押しになってしまっていました。

 最初は自分でも自覚がなかったようですが、「後押しバージョン」と「そうじゃないバージョン」を吹き比べて聞かせてみると、その存在に気がついた様子。まずはそれに気がつくことが第1歩です。ですがこれを取らなければなりません。

「後押し」の原因

 なぜ後押しになってしまうのか。後押しをするということは、何かしら音符上で表現しようとしていることの表れです。何もないよりは勿論良いのですが、音一つ一つで何かをやろうとすると残念ながら後押しになってしまいます。では「後押し」になってしまう根本の原因は何でしょうか。

 根本に潜んでいるのは、吹こうとするフレーズの全体像が見えていない、または見ようとしていないという事です。目先にやってきた音1つ1つで歌おうとすると、音1つ1つのお尻が膨らんでしまい、後押しになってしまいます。

「後押し」しないために

フレーズを考えよう

 メロディーを吹く時は長いスパンで抑揚をつけないと不自然になってしまいます。息を音1つ1つの中で変化させて歌うのではなく、フレーズの塊になだらかな山を作って歌うのです。どこまでが1フレーズなのか、フレーズの山はどこにあるのか、この事を考えられるようになる必要があります。フルートの技術というより、この時点で音楽の解釈の問題になってきます。

 口で説明しただけではなかなかこの癖は取れないものです。レッスンでは、吹こうとしているフレーズを簡略化して、息の滑らかな使い方を体験させました。その後譜面通り・・・ということを繰り返します。

吹奏楽部などで「後押ししないように」と注意されてしまったら、その部分のフレーズがどこまでで、山はどこなのかを考えてみましょう。分からなかったらどんどん先生やコーチに聞きましょう!

 後押しはビブラート初心者にも多い症状です。1音1音ビブラートをかけ直してしまうと後押しがより増強されます。ビブラートをかける時も、「1音」にかけるのではなく「フレーズ」にかけるようにしましょう。

自分の演奏を録音しよう

 「後押し」は自分で意識的にしているものではありません。故に自分で気がつくことはとても難しく、多くは誰かから指摘してもらったり、録音した自分の演奏を聴いて初めて気がつくものです。

 私自身も学生の頃から自分の演奏を録音して聴くという事をよくしていましたが、自分の演奏を客観視することはとても大切です。そして録音した演奏が自分が思っていた感じと違っていたら、吹きながらちゃんと聴けていないという事。このギャップを埋める作業が、一人で練習する時のポイントではないでしょうか。

 自分の演奏を聴いて良くない所を探すのは嫌な作業かもしれません…しかしこれは誰しも乗り越えなければいけないことです。私もこれまで幾度となく自分の演奏にショックを受けてきました。でもそこに伸び代があるという事ですし、自力で上達できる簡単な方法の一つなので、どんどん録音して一人反省会をしましょう!

まとめ

  • 「後押し」は無自覚である事が多い
  • メロディーのフレーズを把握しないで「歌おう」とすると「後押し」になりやすい
  • フレーズがどこまでか、その山はどこかを考えよう
  • 自分の演奏を録音して客観的に聴いて、思った通りの吹き方が出来ているかセルフチェックしよう

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