フルート用の練習テキストは世の中にたくさんあるのですが、ピッコロ用のテキストはかなり限られます。そこで吹奏楽部やアマチュアオーケストラでピッコロを吹く方々のために、自作のテキストをお渡ししています。一回吹いたら覚えられる程度のものですが、練習のヒントになれば幸いです。
ピッコロを演奏する上での基礎知識
ピッコロとフルートは同族楽器ですが、フルートと全く同じ扱いをしてしまうと上手くいかない事が出てきます。楽器の扱い、セッティング、ピッチなどに関して知っておくと良いことについては、以下の記事も是非ご覧ください。
ピッコロの響き作りのコツ
ピッコロのコツは、アンブシュアよりも息の量のコントロール
初めてピッコロを吹く時に間違えがちなのは、とにかくアパチュア(唇の間の穴)を小さくすることだけを頑張ってしまうこと。アパチュアは確かにフルートよりは小さくなるかもしれないのですが、それを敢えて作ろうとすることはあまり良くありません。余計な力みが生じてしまうのと、それだけでは良い音が作れないからです。
ピッコロでまず最初に認識すべきは、必要な息の量はフルートの半分程度というイメージを持つ事です。息の量を変えずにアパチュアだけ小さくしてしまうと、雑音が出たり、音色が硬くなったります。またアンブシュアに負担をかけるので疲れやすくなり、フルートとの持ち替えも上手くいかなくなります。
ピッコロ用の息を体で作り出そう
「フルートの半分の息」を生み出すのは唇ではありません。いわゆる「息の支え」と呼ばれるものです。どんな方法で支えても構いませんが、息を吸って膨らんだ体をそのまま風船のようにキープするイメージです。息が通常より出ていかないようにコントロールします。
一般的に「お腹」の支えと言われたりもしますが、私自身はあまりお腹を積極的に意識する方が上手くいかなかったりするので、自分の体にあった方法でキープできれば良いと思います。
ピッコロの良い音のイメージを持とう
実はこれが最も大事かもしれません。私は海外に修行に行って体感したのですが、ピッコロは本来森でさえずる小鳥みたいな楽器なのです。しかし日本で育つとなかなかそういう音色に出会う事ができません。耳をつんざくような音が必要なことも時にはあるかもしれませんが、ピッコロを勉強する皆様には是非小鳥のさえずりのような音を聴いていただきたい!
私がベルギーのマスタークラスでお世話になったピーター・フェアホイエン先生の音色はまさに森の小鳥です。
ピッコロ奏者といえば世界的にはボーマディエ先生も有名です。
フルートでも他の楽器でもそうですが、「こんな音が出せたらいいな」と思う目標をもって、そのイメージで練習をすることが近道だと思います。
ピッコロ用練習テキスト
それでは実際にレッスンで使用しているテキストを掲載します。目的はピッコロに合った息を作り出せるようにすることです。高音域に行くほど息を使い過ぎてしまいがちですが、そうなると高音域を吹いた時に唇が「ぶー」と鳴ってしまったりして思うように吹けません。中音域でまず良い音を作り、その響きを高音域にも伝えていくように練習しましょう。
音色作りの練習
- 中音域から練習がスタートします。まずこの音域で必要な息の量と支え、無理な力みのないアンブシュア、音色を確認しましょう。
- 中音域で作った息、音色を維持したまま高音域まで吹けるように意識して吹きます。
- 始めた頃はf(フォルテ)になってしまっても良いですが、p(ピアノ)〜mf(メッゾフォルテ)くらいの音量で練習すると効果的です。
- 高音域は無理のないように練習してください。
テキストはダウンロードしてお使いいただいて構いませんが、無断転載・改竄等はご遠慮ください。あくまで個人の練習の範囲でお使いください。
こちらのテキストの「フレーズの歌い出しのソフトなタンギングのために」の課題は、スラーの最初の音を出来るだけ柔らかく発音する練習です。息が多くならないように支えながら、できるだけ小さくてソフトな音で吹けるようにしましょう。
スケールとアルペジオ
- 中音域から練習がスタートします。まずはその音域で必要な息の量と支え、無理な力みのないアンブシュア、音色を確認しましょう。
- 中音域で作った息、音色を維持したまま高音域まで吹けるように意識して吹きます。
- できるだけ美しいレガートで各調のスケール・アルペジオを吹きましょう。
- 始めた頃はf(フォルテ)になってしまっても良いですが、p(ピアノ)〜mf(メッゾフォルテ)くらいの音量で練習すると効果的です。
- 高音域は無理のないように練習してください。
テキストはダウンロードしてお使いいただいて構いませんが、無断転載・改竄等はご遠慮ください。あくまで個人の練習の範囲でお使いください。
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